神戸市兵庫区の川池公園は、No.614621の上沢通の北隣にあたる松本地区の震災復興区画整理事業の中で生まれた公園です。
歩道も含め17m幅の道路(これも復興事業で生まれた都市計画道路)を挟んで隣同士、同じくらいの規模の両地区ですが、区画整理にあたって上沢通は丁目ごとに500平米ほどの小さな8つの公園を配置し、松本地区では東西2ヵ所にまとめて大きな公園を配置しています(西に1000平米、東に2500平米)。
その二つのうち、東側が川池公園になります。

震災前、この場所には関西では有名なオリバーソース株式会社の本社工場がありましたが、地震による被害を受けて移転、その跡地を公園としたものです。
と言うことで、園内にはオリバーソースから寄贈された時計があります。

時計の裏側には同社の皆さんの思いが綴られたプレートがあるのですが、設置から10年ほどとは思えないほど劣化していて、かなり無理をしないと字が読めませんでした。

本当の理由はわかりませんが、子供が触ったりボールをぶつけたりするのにちょうど良い高さにあるので、そうこうするうちに少しずつ塗料が剥がれてしまったのではないかと思います。せっかくのものですし、オリバーソースの皆さんにも申し訳ないので、なんとかしたいところです。


■現地の解説板より『川池公園ソーラー時計塔 とんかつソースが生まれた場所』
寄贈 オリバーソース株式会社
オリバーソースはこの地、松本通り3丁目に本社と工場がありました。ハイカラ神戸に花開く洋食文化を背景に、戦後間もない1948年、ウスターソースをコーンスターチで超濃厚にする技術がこの工場で誕生します。
それまでにない甘口でトロリとした舌触りのこのソースは当時大評判だった料理の名前をとって「とんかつソース」と命名され、その後、全国に広がり、今では日本の食文化に欠かせない調味料になっています。
「とんかつソース」から「お好みソース」「焼きそばソース」「どろソース」とこの工場から日本中に、姉妹品や新製品が発売されましたが、1995年、阪神淡路大震災により施設のほとんどを焼失してしまいました。
松本地区は、安全で快適な街づくりのため大規模な区画整理を行うこととなり、本社と工場はそれにともなってポートアイランドに移転しました。
あれから10年、我々は今日も、神戸の街の香り漂うソースづくりに励んでいます。
2004年12月
神戸市中央区港島南町3-2-2
オリバーソース株式会社 社員一同

さて園内。
緩い傾斜地にある公園内は大きく上下2段に分かれており、下段が広々とした土の広場、上段が遊具広場になっており、ほかに上段にはデッキ(ステージ)も設けられています。

下段の広場は、ぐるりと舗装路で囲まれています。お年寄りのウォーキングなどには、この園路部分が役に立つと思います。

防災倉庫の屋上にあたる部分がデッキになっており、下段に向かっては展望台、赤い屋根のパーゴラの側に向かっては小ステージのような使い方ができます。

下段広場の出入口には公園門があり、その脇には、かつて植物学者・牧野富太郎が暮らした「会下山館の門柱」がモニュメント兼ベンチとして置かれています。

門柱にしてはかなり大きいのですが、じっさいは転倒しないように半分くらいは土中に埋められて立っていたのでしょうか。

■現地の解説板より『川池公園 会下山館の石柱』
この石は、植物分類学者である牧野富太郎(まきの とみたろう・1862-1957)が会下山小公園にあった植物研究所での研究活動のために、神戸滞在中の宿にしていた「会下山館」の門柱として使われていたものです。会下山館は、牧野を支援していた神戸の富豪 池長孟(いけなが はじめ・1891-1955)が宿舎として建設したものです。1995年の阪神・淡路大震災で被害を受けるまでは、会下山町2丁目にありました。地元ゆかりの二人の関係を伝えるために、2本あった門柱のうち右側の1本はここに、左側の1本は研究所のあった会下山町2丁目の会下山小公園に設置されています。
2011年3月
川池公園育成会、川池自治会、松本地区まちづくり協議会
神戸市建設局中部建設事務所

また広場の横には、阪神・淡路大震災の慰霊碑「いのちの碑」が設置されています。
黒御影の立派なものなのですが、設置場所が広場に直面しているためか、ボールをぶつけた跡や泥足跡がたくさんあるのが少し残念でした。

■いのちの碑
平成7年1月17日 午前5時46分阪神・淡路大震災によって会下山町、大井通、松本通、上沢通の川池地域で犠牲となられた百名の御霊を追悼するとともに「いのち」の尊さを後世に語り継ぐものです。
平成16年12月12日建立
川池地区阪神淡路大震災慰霊碑建立委員会
題字「いのちの碑」矢田立郎神戸市長 書

上段と下段の間の高低差は、研ぎ出しの滑り台、スタンド席と防災かまどベンチ、防災倉庫などとなっています。

上段の遊具広場には、少し大きめの複合遊具、パーゴラ、揺れる動物などが設置されています。

こちらの花壇は、以前は噴水のように水が流れていたような気もするのですが、記憶が定かではありません。

とまぁ、気になることが出てきてはいるものの、総じてよく使われていて気持ちの良い川池公園でした。

「阪神・淡路大震災モニュメントマップ」はこちら

(2014年1月訪問)

【2023年5月追記】

ずいぶん久しぶりに近くを通りがかったので、オリバーソースの銘板がどうなったのかを覗いてみたら、きれいに読めるものに交換されていました。
おかげで、記事中で紹介しているのに「判読不明」を入れたままで気になっていた箇所を修正することができました。



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