もともとは関東大震災からの復興小公園として淡路小学校と一体的に(ただし間に道路を挟むパターン)整備されたのですが、小学校は1993年(平成5年)に統廃合にされてNo.119の芳林公園で登場した昌平小学校となって移転し、跡地の再開発で公園も大きく生まれ変わりました。
敷地はニコライ堂のある駿河台あたりから下りてくる坂に接しており、勾配を階段状の植栽帯で処理しています。
再開発で建った高層ビルとも一体化したデザインがされており、言われなければ都市公園であることには気づきません。
植栽帯の中には、ちょっと困った顔のファニチャーが。
下りた先はシンプルな芝生広場。一般的な民間ビルの外構だともう少し花壇や灌木植栽が多いようにも思うのですが、芝生部分が多めなところが公園っぽいです。
広場周囲の樹木に少し大きめのものがあるのは、リニューアル以前の樹木を残したり移植したりしたもののようです。
芝生広場の一角には、アート作品っぽさを出しつつ遊具、ベンチを兼ねたファニチャーがありました。
周りに木チップが敷き詰められているのは、いちおう公園遊具扱いで事故防止策が取られていると思われます。
申し訳程度に駐輪場があるのも公園だからでしょうか。
ちなみに、この場所は著名な私立男子校である開成中学校・高校の発祥の地だということで、その記念碑もありました。
剣の上にペンを置く校章は、非常に格好良いですね。ペンは剣よりも強し。
もともとが関東大震災からの復興公園としてスタートして80年以上の歴史を持ち、樹木も大きく育っていた公園が、小学校跡地ごとタワーマンションも含めた再開発に取り込まれてガラッと変わってしまったため、色々と議論もあったと聞きます。
しかし都市全体が徐々に変わっていくなかで、公園だけが何十年もそのままでリニューアルの予算もつかず、ただ鬱蒼と茂っただけの樹林の下でタバコを吸う人しか集まってこない場所になっていることも多いだけに、この淡路町公園でのチャレンジは面白いことだと思います。
何処も彼処もこうなっても困りますが、どこでも出来るわけではないチャレンジなので、今後の管理や活用でも、ここでしか出来ないことに挑んで、80年後の人たちにも大切に思ってもらえる公園になってくれればと思います。
●毎日新聞記事「ワテラスガーデニングクラブ:区立公園の緑化で新たなコミュニティーを 神田淡路町」2013年08月05日
淡路エリアマネジメントと安田不動産は、東京都千代田区神田淡路町2丁目の再開発プロジェクトの一環として、7月に完成した千代田区立淡路公園を民間で緑化する会員制クラブ「ワテラスガーデニングクラブ」を3日、発足した。民間で区立公園の緑化を行うとともに、今年、大型複合施設のワテラスや御茶ノ水ソラシティがオープンするなど再開発が進む同地域で、新旧の地域住民による新たなコミュニティー形成を目指す。●神奈川大学 関東大震災・復興データベース
千代田区立淡路公園は、4月、千代田区立淡路小学校跡にオープンしたワテラスに隣接する。約3000平方メートルの敷地は春夏秋冬をテーマとした四つのエリアに分かれており、梅やソメイヨシノ、イロハモミジ、ツバキ、ムサシノケヤキといった木が植樹されているほか、花壇もある。
ワテラスガーデニングクラブでは、日本大建築・生活デザイン科の山崎誠子准教授のレクチャーを受けて同園やワテラス内でガーデニングを行ったり、江戸時代の園芸文化を学べたりする。活動は月2回で、入会金は2000円、会費は半年で6000円。定員は20人で、千代田区民以外も参加できる。
3日、ワテラスガーデニングクラブの発足を記念して同園で植樹式が開催され、山崎准教授、淡路エリアマネジメントと安田不動産の関係者、ワテラスの住民、地域住民が参加。山崎准教授は「ここ数年、公的なことを民的にやって、公園を作ろうという動きがある。ここにしかない公園を作っていきたい」と話していた。(毎日新聞デジタル)
(2013年11月訪問)
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