以前は海に直面しており、江戸時代末には沿岸防衛のための砲台が築かれ、公園となった後には1903年(明治36年)第5回内国勧業博覧会の会場となって水族館などが開かれたり、海水温泉(潮湯)が設置されて海辺のレジャー施設として賑わったりしたそうです。
その辺りは色々と詳しいサイトもあるので、ここでは現在の大浜公園の話を。
●堺市立図書館デジタル郷土資料 大浜公会堂と潮湯
まずは公園門。さすがに最古の公園だけあって立派なものです。ひとつの足がわざわざ植栽地の中に食い込んでいるのは、なにか意味があるのでしょうか?
水族館があった頃の名残を留めるのは、こちらのサル舎。
以前は古いタイプのサル山だったのですが、老朽化が進んだことと、お客が勝手気ままに投げ込むエサを食べているうちにサルが信じられないくらいの太りすぎになってしまったため、現在の形に建て替えられました。
エサは飼育員が与える決められたものしか食べられないようになり、またロープやタイヤ、支柱などが増えて自然な形で運動できるようになったため、もう太りすぎのサルはいません。
サル舎の隣には、カラフト犬慰霊像。タロとジロで有名な第一次南極越冬隊に取り残された犬たち15頭のブロンズ像です。
ものの本によれば取り残された犬は15頭。そこは間違いないのですが、その中には1年後に助け出されたタロとジロも含まれますので、この慰霊像には助かった2頭も含まれていることになります。
それもそのはずで、1958年の2月に犬たちは置き去りにされ、7月にはこの像(の前身)が設置されているのです。ずいぶんと気が早く、手も早い人がいたものです。
当時はコンクリート製だったものが、傷みが激しくなったので1987年(昭和62年)に現在のブロンズ製のものに作り直されたそうです。
古い公園なので、色々なものが公園中に散らばっています。
これは公園管理事務所の横手にある「大阪窯業煉瓦工場之跡」の碑。
解説によれば、大浜公園の南東に隣接する敷地に煉瓦工場があり、それが廃止になった跡に建てられていた記念碑を、何かの機会に公園に移したものだそうです。
それじゃぁ、この碑のある場所は「煉瓦工場之跡」じゃないってことか。
こちらは上述した第5回内国勧業博覧会に明治天皇が来られたことを記念する碑。建てられたのは昭和に入ってからです。時代背景もあってのことですが、でかい!
こちらは1854年(安政元年)に起きた安政南海地震の記念碑である擁護璽(ようごじ)です。
慰霊碑ではなく、地震・津波が起きて被害が出たこと、堺の人は神社に逃げて助かったこと、津波で船が流されたので地震が起きた時は津波があると心得て船で避難するべからず、といったことが書かれているそうです。
珍しいところでは、ラジオ塔。
まだラジオが普及していなかった昭和初期に、公衆のためのラジオを設置した台です。後の街頭テレビのラジオ版みたいなものですね。全国に残っていますが、たいてい公園の中にあります。
この大浜公園のものは1933年(昭和8年)に設置されたそうです。
そして最大の見せ場は、この蘇鉄山。
松林の中を一筋延びる登山道を登っていった先には、蘇鉄の茂る山頂と、測量用の三角点があります。
No.377の天保山公園では「日本一低い山」と呼ばれる天保山の二等三角点4.53メートルを訪ねましたが、こちらは「日本一低い一等三角点」で標高は6.84メートルです。
大阪には、ほかにも茶臼山(26m)、昭和山(33m)など低山ながら名前の通っている山がいくつかあるため、低山巡りハイクがよく行われています。
そして蘇鉄山の麓にある菖蒲園には、石垣が見えているところがあります。これが冒頭に述べた幕末の砲台跡の石垣です。
本ブログでは、1863年に建てられた西宮砲台が登場したことがありますが(No.98 砲台跡児童遊園)、そちらが単体の砲台であったのに対して、こちらは複数の砲台を設置した稜堡を持ち、周囲に水堀を設けた御台場であったようです。 それだけ堺港の防衛が重要課題であったということでしょうか。
●現地の解説板より「御台場の石垣と外堀」(2013年7月訪問)
江戸時代の終わり頃、外交を求める外国船に対し港湾防備のため、全国各地に石垣を築き大砲を設置した砲台場が造られました。
堺でも大阪湾防備のために、安政2年(1855)頃から旧堺港をはさんで南と北に砲台場が造られました。
南岸の御台場は築造当初は海に向かって一直線上に大砲を設置するという簡単なものでした。しかし慶応二年(1866)、より広い範囲を防備することが可能な洋式の砲台場に大改築が行われました。南北295メートル、東西195メートルで、北、西、南側は石垣を積み一部に堀を設け、東側は防波堤を利用しています。
大浜公園の南側は御台場の石垣と外堀が比較的よく残っています。このたび石垣を活かして外堀の整備を行いました。
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