交通公園は、高度成長期に突入した1950年代後半~1960年代初頭に子供の交通事故が相次いだことなどを背景として整備が進められたもので、当時の建設省の出した通知で「児童の健全な遊戯の用に供し、あわせて児童に交通知識及び交通道徳を体得させることを目的として設置する」もので、「(イ)園路(橋、トンネル、踏切等を含む。)、(ロ)広場、(ハ)交通標識、交通信号機等」などを設け、「園路での遊器具として、三輪車、自転車、豆自動車等」を備え、「訓練された指導員をおき、又は警察官の協力を求めて、各種の指導を行なう」こととされています。
ですから、実際の道路のミニ版をつくり、そこを子供が歩いたり三輪車や自転車で走ったりしながら、交通安全の指導を受けることを目的とした公園ということになります。
中には、普通の道路と同じサイズの幅で園路を整備して、成人向けに本物の自動車の運転講習をしていた交通公園もあったようです。
しかし現在は、各地に整備された時期から40年以上が経ち、施設の老朽化や交通安全教育へのニーズの変化などがあって、徐々に減少傾向にあると思われます(数を調べたことはないので本当のところはわかりませんが)。
ということで、江戸川区の今井児童交通公園ですが、
橋や踏切を含む園路があり、
交通標識や信号があり、
三輪車や豆自動車等を備え、
なぜかサイクルモノレールまであります。これだけ揃って入園無料、乗り物も無料!
楽しそ~、と言うか、オッさん一人で行っていたのに思わず乗ってしまいました。楽しかった~。
(2009年5月訪問)
【参考資料】 国土交通省所管法令、告示・通達一覧より
建設都発第一九二号 昭和三七年八月八日
各都道府県知事及び各五大市長あて 建設省都市局長通知
『交通公園の設置及び運営について』
今般、別紙のとおり交通公園設置運営要領を定めたので、今後交通公園の設置及び運営については、同要領によるとともに、都市公園法(昭和三一年法律第七九号)、同法施行令(昭和三一年第二九〇号)、都市公園に関する条例等の定めるところと相まつて、その取扱に遺憾のないようにされたい。
なお、この旨を管下関係市町村に周知徹底されたい。
別紙
交通公園設置運営要領
1 設置の目的
交通公園は、主として児童の健全な遊戯の用に供し、あわせて児童に交通知識及び交通道徳を体得させることを目的として設置するものとする。
2 設置の方針
(1) 都市計画の決定がなされている都市公園として設置するものとする。
(2) 既設の小公園の転用による設置は行なわないものとし、その他の既設の公園においては、その公園の効用に支障がない場合においてのみ、設置することができるものとする。
3 配置及び規模
(1) 市街地又は市街地に近接する場所に、児童が容易に利用することができるように配置するものとする。
(2) 敷地面積は、一箇所二ヘクタールを標準とするものとする。
4 施設及び設備
(1) 施設
最少限度、次に掲げる施設を設けるものとする。
(イ) 園路(橋、トンネル、踏切等を含む。)
(ロ) 広場
(ハ) 交通標識、交通信号機等
(ニ) 便所、手洗場、ごみ箱等
(ホ) 集会所及び管理事務所
(2) 設備
(イ) 園路での遊器具として、三輪車、自転車、豆自動車等をもうけるものとする。
(ロ) 動力式豆自動車は、利用者、施設等に危害を及ぼさないような速度構造等を有する安全なものを設けるものとする。
5 設計
(1) 園地は、園路により園内を区分するものとし、特に修景に留意するものとする。
(2) 園路
(イ) 園路は、横断歩道、各種の交通標識、交通信号機等を設け、必要に応じ、歩道、並木等を設けるものとする。
(ロ) 園路には、分離帯、橋、トンネル、踏切等の工作物又は立体交差の部分を設け、園路に変化をもたせるものとする。
(ハ) 園路は、少くとも簡易舗装とするものとする。
(3) 園区
(イ) 園区には、それぞれ修景地、休憩地、運動広場、児童遊戯場等を配置するものとする。
(ロ) 各種の運動施設、遊器具等は、園区ごとにそれぞれ異なつた種類のものを配置するものとし、他種の運動施設、遊器具等を利用しようとする場合は、必ず園路を横断することとなるようにするものとする。
(4) 修景
(イ) 既存の風致は、できる限り保存するよう努めるものとする。
(ロ) 園地及び園区の外周部に、植樹帯、芝生地等を設けるものとする。
(ハ) 広場、休憩地等には、花壇、噴水、壁泉、パーゴラ等の修景施設を適宜配置するものとする。
(5) その他
一般の利用に供する園地をも設けるよう配慮するものとする。
6 運営
(1) 管理及び運営は、地方公共団体が行なうものとする。ただし、都市計画法(大正八年法律第三六号)第五条第二項の規定による特許又は都市公園法第五条第二項の規定による許可を受けて設置された施設については、この限りでない。
(2) 利用者は、中学生以下の児童とするが、幼児は、付添人がある場合にのみ、利用できるものとする。
(3) 訓練された指導員をおき、又は警察官の協力を求めて、各種の指導を行なうものとする。
(4) 入園料は、無料とするものとするが、備付の三輪車、自転車、豆自動車等の利用については、有料とすることができるものとする。
(5) 三輪車、自転車等の園内への持込利用は、原則として禁止するものとする。
(6) 施設及び設備の保全、利用者に対する危害の予防等について特に留意するものとする。
7 国庫補助
交通公園に関する国庫補助については、都市公園法第一九条及び同法施行令第一四条の定めるところによる。
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【2014年10月追記】
本文中に「交通公園の数を調べたことはない」と書きましたが、1995年(平成7年)のものですが、全国の交通公園の一覧が掲載されている資料がありました。
『公園緑地マニュアル 改訂平成7年度版』(日本公園緑地協会)によれば、北は北海道名寄市から、南は鹿児島知覧町まで、全国191ヵ所の交通公園があったようです。ここのように小さな公園がまるごと交通公園というパターンだけではなく、何十ヘクタールもある大きな公園の中に交通公園のパーツが収まっている例も多く挙がっています。
もう20年も前の資料で、現在は改修されて交通公園としての機能は無くなったことを知っている公園も掲載されていますので、感覚的には、ざっくり100ヵ所くらいが今も残っているのではないかと思います。
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