神戸市の有馬温泉は、山あいに古くから発達した温泉街なので、公共オープンスペースというのが社寺境内くらいで、今風のイベントなどに使える場所がありませんでした。
そこで、阪神・淡路大震災からの復興事業の一環で、神戸電鉄の有馬温泉駅に近く、温泉街を流れる六甲川と滝川とが合流して有馬川となる太閤橋付近の河川敷が整備され、有馬川親水広場となりました。
下写真は、有馬川に架かる太閤橋から上流側を眺めたところ。ここから約100メートルくらいの区間が親水広場です。
でも園名板は、なぜか倒置法で「親水広場有馬川」。親水広場であることを前面に押し出してきます。
あくまで河川敷なので、川が増水した時に水や流木等が引っかからないように、施設は最小限。せせらぎの水音を楽しみつつ、そぞろ歩いて石橋を渡り、暑い日には少し水に入ってみる、くらいの使い方になろうかと思います。
以前は流れを枝分かれさせたり、緩傾斜で池・淵のようにする場所があったりして、「広場」よりも「親水」の方が強く出た形をしていたはずですが、数年前に改修されて、平場を増やし、バリアフリー斜路が追加するなどして、イベントなどにより使いやすい形になりました。
とは言え、ここは2本の川の合流点で、上流はすべて傾斜が急な山地なので、そこで少し多めに雨が降ると、ここに一気に集まってくるのが怖いところ。イベント開催時は、誰かホテルの屋上に登り、山の方角をずっと見張っていないといけません。
六甲川の方向は、こんな感じの古い石積みの三面張になっています。滝川方面は暗渠化されていて正面から写真を撮りにくかったため省略しますが、川幅はだいたい同じ。
この幅だと、ちょっとした雨ですぐに30センチくらいの深さの濁流が流れてくると思うので、大人でも足を取られて流されそうです。
まぁもちろん、短い区間の両岸に何ヵ所もの階段やスロープがあって、普段づかいの便利さに加えて、急な増水時の逃げ道にもなってはいるのですが。
でもやっぱり、ゲリラ豪雨が多い夏場などは、ここにずっと滞在するにはかなりの度胸が必要です。
ところで、親水広場のすぐ西側、下写真で中央奥手にも一団の緑が見えます。
こちらも温泉街中心部には貴重なオープンスペースのひとつ「湯けむり広場」です。
太閤橋の交差点に面していて、前面スペースが狭いために写真が撮りにくいのですが、今は動いていなさそうな大きな滝の噴水を中心に、道路側が小広場になっています。
角度を変えると、こんな感じ。私としては、噴水はもっと小さくても良いので、人が溜まれるスペースを広くするほうが良かったと思います。
でもそれは、交差点を通る車向けのアピールや見た目が重視されて、人が歩くとか集まるとかが軽視されていた時代の名残なのかな、と考えてみたりもします。
ただまぁ、噴水がまったく見るだけのものかというとそうでもなくて、両側の階段から水が落ちてきたはずの上部に登ったり、
そこから太閤橋を上から眺めたり、
階段を降りて滝の裏側にまわって見ることなどもできるようになっています。
一角には、有馬温泉をこよなく愛した豊臣秀吉の銅像。でも、あまりサルに似ていないので一瞬考えないと誰だかわかりません。
さらに彼の視線の方向、親水公園を挟んだ向こう側に、奥方”ねね”の銅像もあるのですが、どうして川を挟んで離れ離れなのかもわかりませんでした。七夕的なエピソードでもあるのでしょうか。
(2023年2月訪問)
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