京都市左京区にある吉田山は、南北約800m、東西約300mの細長い独立丘で、周囲から約50~60m程度突出していてよく目立ち、吉田神社を始めとする社寺が建てられるなど信仰の対象、あるいは郊外の景勝地として知られてきました。
明治以降は西麓での京都大学開学などもあって、徐々に周辺の市街化が進み、とくに大文字の火床を望む東斜面は高級住宅地として開発されるなど古くからの山林の様相が変化しはじめたことから、京都市が丘の北側は買い取って都市公園(都市緑地)に、東側は近郊緑地特別保全地区に指定するなどして保存に努めています。
とは言え、実際に行ってみると、都市公園も緑保地区も神社所有地も境界がハッキリあるわけではなく、一続きの山のようなものですが、とりあえず登ってみましょう。
京大に近い北参道の鳥居の横に階段登山道がつくられているので、ここは公園施設ではないかと思いつつ10分ほど登っていくと、
東山の大文字を望む展望広場に出ました。
各地の展望広場では、整備から長年の間に周りの樹木が茂って何も見えなくなることが多いのですが、ここでは樹木をV字型に伐開し、なんとか大文字への眺望だけは確保しようと苦心をしている様子が見て取れます。
もっとも、広場の中で大文字が見えるのはごく限られた角度の位置だけで、上写真のところだけが撮影ポイントです。せっかくの東屋からは何も見えません。
もう少し周りを伐り開いて明るい園地にする方が良いと思うのですが、これだけ大きくなっている樹木を伐るのは大掛かりな作業になりますので、容易には進められないことが悩みでしょう。
と言って悩んでいるうちに、もっと茂ってくるのは確実ですが。
おそらく、整備当初はこの方位盤あたりに立つと、東西南北それぞれが眺められたのではないかと思います。
展望広場から南の方へ少し歩くと、こんどは休憩園地と名付けられた平場にでました。ここも大文字への眺望だけは確保するように樹木が伐採されています。
広場には石のスツールが劇場の座席のように並べられているので、送り火の夜には、ここに座って眺めることができます。夜道を登ってくるのはまぁまぁ大変かとは思いますが。
出張途中に革靴でも登ることができる吉田山緑地でした。
(2021年11月訪問)
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