山陽新幹線が止まる新山口駅は、2003年(平成15年)までは小郡駅と言いました。
駅名が変わった後に旧・小郡町と山口市が合併したのですが、旧・小郡町の町名は上に「小郡」をかぶせる形で存続させることになったらしく、新山口駅の周りには小郡黄金町、小郡緑町、小郡高砂町など少々くどい町名が連なっています。
そんな小郡黄金町にあるのが黄金(こがね)公園です。
1989年開園のこの公園は、新幹線駅前地区のシンボルとなることを意図されたものと思われ、公園全体がモニュメントと化している公園です。
曇り空のため少々かすれていますが、まっすぐ続くシンボルロードの先に、シンボリックな塔が見えています。
書いてみてもよくわからない文章ですが、平面的な造形は園内案内図でなんとなく伝わるでしょうか。
公園というよりは、ヨーロッパの幾何学式庭園の模式図のようです。
兎にも角にも、この塔を際立たせるために周りの公園があるということですね。
中央のアルミの円筒を、周りのコンクリート柱から張られたワイヤーで上下から支えて、まっすぐに宙に浮かせたような不思議な形をしています。
そして円柱下部の台座状の部分にサーチライトが仕込んであって、天に向かって光の柱が伸びていく見せ場があるようです。
足元に小さく“ EARTH and SKY;1989 田辺武 ”とプレートがあるので、これが作品名なのだと思います。
が、田辺武さんのHPには、“ Pulse of Earth Sky and Earth 1 ”と、けっこう違った呼び名で掲載されています。
園内には天地人と刻まれた石碑があり、この足元石の黒い方には国土交通省の「手づくり郷土賞」、白い方には照明学会の「照明普及賞」と「優秀照明施設賞」を受賞したことが記されています。
照明学会のHPには古い資料がなかったのですが、国交省の手づくり郷土賞は昭和時代からの受賞一覧があるので探してみると、1992年(平成4年)の記事にありました、光のタワー。以下引用。
山口県の小郡町では、町のシンボルとして、また来訪者の興味を引く施設として「光のタワー」を設置した。このタワーは、新幹線小郡駅近くにある黄金公園内に建設され、人が住んでいる空間は、天があって大地があり、人間がいる、という「天・地・人」を基調として、公園の区画空間を含め、すべてをひとつのモニュメントとしている。高さ15メートルのタワーから発せられる光は、上空3,000メートルにまで達し、夜空に幻想的な光の帯を描き出す。 また、光は天候により微妙に変化し、さまざまな情景が演出される。さらに周辺に置かれた巨石は、ライトアップによって神秘的な景観を創出し、タ涼みや散策の人々が訪れ、町民や観光客の憩いの場となっている。
「来訪者の興味を引く施設」とハッキリ言っているところが良いですね。今どきは気恥ずかしくて、こんなことを堂々と言えないですから。
当時の夜の姿も、上記資料から拝借します。明らかに今よりもずっと建物が少ない状況で、天に向かってサーチライトが伸びています。
それにしても、この写真は、マンションの広告みたいですね。
よくあるじゃないですか、これから建つ予定のマンションが光って天に伸びていくようなイラスト入りの広告。
ちょうど本当に黄金公園のすぐ近くに建つグランドパレス新山口というマンションの広告があったので拝借しますが、上の写真とだいたい同じではないでしょうか。
光が黄金色なところは、イラストの方がより黄金町に似合っているかも知れません。
そして本物の光の塔の方ですが、昼間にしか見ていないので詳しいことはわかりませんが、おそらく周りにマンションなどの高い建物が増えた現在では運用できなくなっているのではないかと思います。
全体的にバブル時代の残り香を感じてしまう黄金公園でした。
(2021年7月訪問)
0 件のコメント:
コメントを投稿