深田池公園は、阪急・御影駅のすぐ北にある深田池を中心とした眺めの良い公園です。
駅周辺は明治から大正、昭和にかけて朝日新聞社、大林組、武田薬品工業など大阪の大企業の創業家たちが豪邸を構えたエリアですが、深田池そのものは、もっと古くから溜池として使われてきた池だそうです。
■現地の解説板より「深田池公園」
深田池は、もともと農村時代のため池である。深田池の名は「フケ」(ぬめぬめした田、泥深い田)になっていたところへ築かれたため池であることからきていると思われる。付近には同様のため池がいくつか造られており、その1つは深田池に対して浅田池と呼ばれていた。
この湿地は、南北朝時代の武将赤松円心の家臣・平野忠勝の居城であった平野城の東の防衛線として機能していたといわれている。その平野城は今ではその面影さえうかがえないが、深田池一帯は公園に全面改修され、付近に残された閑静な散歩道とともに区民の憩いの場となっている。東灘区役所
公園としては敷地の7割ほどが池で、マツが大きく育つ池の東・南の堤部分が遊歩道のようになっている構造です。
園路幅は4~5メートルあって行き違いもしっかりできるサイズなのですが、池を周回できるようにはなっていないのが惜しいところです。
池の周りはしっかりと柵で囲われており、直接的に池を利用することはできないのですが、一箇所だけ池に突き出た池亭が設けられています。
池亭からの眺め。
どの角度から撮影しても写り込んでくる北岸のマンションに住む方は、この池の景色を毎日独占しているかと思うと、羨ましい限りです。
この池亭には水門の操作器具がありました。ただの休憩・景観目的の施設ではなく、もともと必要な操作器具の置き場所を有効活用するためのものとして設置されているようです。
まぁでも、下流側にはもう田畑などないので、いつどのような機会に水門が開閉されるのかは不明です。
上の方で「直接的に池を利用することはできない」と書きましたが、実際には池端から竿を出して釣りをしている人もたくさんいます。コイかフナかは知りませんが、年配の方が日がな一日釣っているという風情です。
ちなみに、釣り人の向こうの遠景に見えている緑の丘は、まるごと大林組の創業者・大林義雄が建てた邸宅です。
建物としては洋館・和館があるそうですが、深田池公園からもよく見えるのは丘の頂上付近にある東洋趣味の楼塔です。
豪邸に縁がなくとも、気分は豊かになる深田池公園でした。
(2021年5月訪問)
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