いたすけ古墳は世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」の構成要素にもなっている前方後円墳で、墳丘長は146メートル、3段築造で、今も水を湛えた周濠を備えています。
いたすけ公園は、この古墳の北側に隣接する小公園です。
...と書こうと思ったのですが、資料にあたってみると都市計画決定は3.4ヘクタールあるので、いたすけ古墳全体を含んでいるようです。
そもそも、いたすけ古墳は私有地だったために昭和中期に開発されそうになり、それに反対する市民運動が展開されて保存に至ったという経緯を持っており、文化財保存運動のシンボルのような場所です。
おそらくは開発抑制のための法手段として、史跡区域と都市計画公園区域を重複させているのではないかと思います。
とは言え、周濠の縁に張られたフェンスの向こう側は立入禁止で、よく言えば保全、悪く言えば放ったらかしの状態です。
さて開園済みのいたすけ公園ですが、周濠の一皮外の変形の敷地を使っており、細長い区域に園路が通るだけの部分も多いのですが、一部分だけ少し広くなっており、ここが児童公園仕立てになっています。
古墳に負けず劣らず大切にしたいのは、50年選手クラスのコンクリート製滑り台です。
直線的な造形を多用したシルエットが、今となっては新鮮に見えます。
もっと古い時期のものだと本体の下に柱が入っていることが多いのですが、ここでは柱をなくして、登り部と滑り部とで全体を支えています。
昭和も中頃になると鉄筋コンクリートの技術が進んで、造形の自由度が増したのではないかと考えていますが、詳しいことはわかりません。
そして、登り部が急勾配のハシゴになっているのも、遊具の個性となっています。
ハシゴを登るのはちょっと大変な幼児向けには、普通の滑り台と2連ブランコの複合遊具もあります。
あとは、シーソーと太鼓橋のラダー遊具などがあります。
ラダー遊具ごしに古墳を眺める構図。
この墳丘を真っ平らにして、橋を架けて「小島に暮らす」といった住宅開発が計画されていたそうなので、「アホなことを」と思うと同時に、高度成長期の開発事業者たちの活力にも驚かされます。
古墳とともに歩むいたすけ公園でした。
(2021年5月訪問)
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