長崎の中心市街地のすぐ北に、標高366メートルの金比羅山という山があります。
現在は、これの標高150メートルくらいまでの山裾が市街化されているのですが、そんな坂の多い町にある西坂公園。
公園であることは間違いないのですが、ここはカトリックの日本二十六聖人の殉教の地、すなわち豊臣秀吉のキリシタン禁令により外国人宣教師を含む26人が刑に処された地を記念して整備されたものですので、非常にモニュメンタルな空間となっています。
園内の空間は、敷地の北端にある「日本二十六聖人殉教記念碑」と、その後ろに建つ記念館とを中心に構成されています。記念碑のブロンズ彫刻は、戦後日本を代表する彫刻家・船越保武の作品。
記念碑から海の方へとまっすぐ伸びる赤い敷石は、5年ほど前の再整備で新たに設置されたもの。もっとも、海や港、その先にあるカトリックの聖地・ローマを望むためには、手前のマンションが最初の難関として立ちはだかります。
それとは少し角度を変えて埋め込まれた列石は、長崎市内の大浦天主堂、正式名は「日本二十六聖殉教者天主堂」の方を向いています。
そもそも、大浦天主堂そのものが二十六聖人を記念して西坂を向いて建てられたものなので、お互いがお互いの方角に思いを向けていることを象徴的に示しています。
歴史的・宗教的に大切にされる空間であり、かつまた長崎では著名な観光地なだけに、休養や遊びの要素はほぼない西坂公園でした。
(2019年11月訪問)
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