理化学研究所の大型放射光施設・SPring-8を擁し、先端科学企業の誘致を目指していましたが、20年経ってもそうした企業の進出はごくわずかで、開発もさほど進んでいません。
当初の目標人口2.5万人に対して、2017年(平成29年)の人口は1400人足らず。
圏域の中心都市である姫路市から公共交通で1時間ほどかかりますので、今の日本の社会・経済状況からすると、これから人口が大きく増えるとは考えにくく、非常に漂流している感のあるニュータウンだと言えます。
そんなまちの中央にあるのがテクノ中央交差点、その交差点を同心円状に包み込むのが通称・テクノ中央公園(正式名称は知らず)です。
このまち全体のデザインには、世界的建築家の磯崎新、ランドスケープアーキテクトのピーター・ウォーカーらが関わっており、「センターサークル」とも呼ばれるこの場所は、ピーター・ウォーカーの手によるものだそうです。
ピーター・ウォーカーは20世紀終わりに世界的に活躍した人物ですが、非常に幾何学的なデザインを好む方なので、その特徴がよく出ているデザインなのだろうと思います。
十字路によって4つに分かれた公園は、上空から見ると同じような形に見えましたが、地上で眺めるとそれぞれけっこう違っています。
まず北東のブロックは、磯崎新デザインの「穴が空いたような」デザインの公営住宅の建物を仰ぎ見るようになっています。
建物のインパクトが強すぎるのですが、公園部分から見ればアイストップというか、借景というか、とにかく存在を意識せざるを得ない間柄になっています。
ただ、ここの広場部分は「とにかく幾何学的に樹木を植えました」といった感も強く、何に使えばよいのか迷う構造です。
続いて北西のブロック。
ここは構造としては北東に似ているのですが、丘を上っていった先に建物がなく、森になっています。
ただ、森だけではなく、謎の環状列石が並びます。
形が揃っているので人工石だろうと思うのですが、まぁなんと言うか、どうしてこんなことをしたくなったのか、と言った感想が湧いてきます。
こっちはギリギリ、「スツール」と言い張れないこともないのですが。
これも「ベンチ」と言い張れないことはないのです。
でもこれはなぁ...ストーンサークルやモアイ像のような感動があるわけでもなし。
あまり人も来ないので、ヘビがとぐろを巻いていましたよ。
次は南西のブロック。
ここは北西のブロックから環状列石をなくしたようなデザインになっています。
ただ、地面には標識杭が埋められて列石となっていました。
地下になにか埋まっているのでしょうか。
そしてこのブロックの交差点に近いところには、ドーム状に石を積み上げたようなモニュメントがありました。
近づいてみると、全部を石で積み上げたものではなさそうで、所々に隙間が空いています。
写真ではわからないのですが、覗き込んでみると金網のようなものでドームを作り、その上に石を積み上げていっていることがわかります。
この金網の奥には照明が見えましたので、おそらく夜になるとモニュメント全体が光る演出がされるのだと思います。
そして最後の南西ブロックは、ほかの3ブロックとはかなり違っていて、竹と石を組み合わせて一種の枯山水のような、あるいは州浜のような空間を作り出し、中に入って歩き回るのではなく、沿道から眺めるような庭園になっています。
これがホテルとか美術館にあればと思うのですが、あまり人気のないニュータウンにあるというのが面白いところです。
なにか異世界に迷い込んだような雰囲気すらあります。
こうした「作品」と呼ばれるタイプの公園にはあまり行かない本ブログですが、たまには良いかと思ったテクノ中央公園でした。
(2018年10月訪問)
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