1936/1000 三朝キュリー公園(鳥取県三朝町)

2018/10/26

三朝町 鳥取県

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鳥取県の三朝(みささ)温泉はラドン含有量が多いことが特徴であるため、昭和の昔からラドンおよびラジウムの研究で有名なキュリー夫人を顕彰しています。
温泉街の一角にも数十年前から「キュリー広場」というのがあるのですが、それとは別に、温泉街の西の街道沿いに、2010年(平成22年)に作られたのが「キュリー公園」です。

公園と言っても、道路の拡幅・付替えでできたような余地に、レンガを敷いて花壇をつくっただけのもので、駐車場もないので特段に誰かが積極的に利用するような場所ではありません。
まぁ、花壇を美しく彩ることで、街道を通って温泉街へ向かう人達へ「ようこそ、三朝町へ」という雰囲気を醸し出すエントランスの役割を期待してのものでしょう。実際、私が訪ねた時もコスモスの花壇が手入れされており、秋に向けて準備が整っていました。

ところで、三朝町のもう一つの名物だったのが、岡山県との県境にあたる人形峠にあったウラン鉱山です。そこでは1950年代から21世紀初頭まで採掘やウラン濃縮が行なわれており、長年の間に生じたウラン残土の処理が問題となっていました。

色々な立場からの意見が出るものでどこにも持って行き場がなく、国内でこっそり山積みにしたり、国外に持ち出して砂漠地帯で処理したりしたのですが捌ききれず、最終的ににっちもさっちもいかなくなったところで原子力機構が考え出した策が「ウラン残土を使ったレンガを製造して一般に販売する」という、聞く人が聞いたら卒倒しそうな事業です。
しかし通称「ウランレンガ」を好んで買う人は少なく(人形峠近くのお土産屋でも売られていたのですが)、けっきょく原子力機構や文科省の施設整備に使ったのみで、在庫の山となりました。

そして、ここまでのお話が結びついてできたのが、ここ三朝キュリー公園です。
すなわち、この足元に敷き詰められているのがウランレンガ。

どっちを向いてもウランレンガ。

銅像の台座もウランレンガ。花壇の縁石は違うかも。

ピエール&マリーのキュリー夫妻も、こんなことになっているとは驚きでしょう。

これがあるからと言って温泉街の魅力向上にはそれほどつながらず、むしろ一定の層の観光客が逃げていく感のある三朝キュリー公園。
とは言え、原子力機構のホームページに「人形峠製レンガの一層の社会的理解促進を図るため」の施設だと書いてあるので、観光とか利用とか考えてはいけないのかも知れません。だったら、そんなものを「公園」と呼ばないで欲しいな...


●日本原子力研究開発機構HP「鳥取県三朝町に人形峠製レンガを用いた広場等が完成」
>https://www.jaea.go.jp/02/news2010/101126/

●ウランレンガの安全性を述べた原子力機構の記事はこちら
>https://www.jaea.go.jp/04/zningyo/4-1/20110701-01.html

●ウランレンガについて疑問を呈する小出裕章さんの文章はこちら
>http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/mss081122.pdf

(2018年8月訪問)

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