戦前は十条駐屯地の敷地と一体で陸軍造兵廠(銃砲製造所)が置かれていましたが、戦後は米軍に接収されたり、一部返還されたりして、現在は駐屯地の東・南・西の一部を使った凹型のような敷地の公園となっています。
下の地図では中央の「十条兵器製造所」がそれにあたり、近隣には「陸軍火薬廠」「板橋火薬製造所」「陸軍工科分校」などが集まっている地域だったことがわかります。
国際日本文化研究センター所蔵地図データベースより 1935年(昭和10年)改訂版『模範新大東京全図』 |
さて、現在の中央公園。
まずは駐屯地南側にあたるメインブロックですが、ここには野球場やテニスコート、サイクリングコース、樹林の広場などが整備されています。
野球場は内野土・外野芝の2面が縦に並んで、外野を共有するタイプ。
この野球場と隣のテニスコートをグルリと囲むように、サイクリングロードが設けられています。
ただし自由に走り回ってよいわけではなく、園内で借りる自転車専用で一列に並んで走ることが義務付けられています。
まぁ誰もいない時はランニングをしたり歩いたりしても良いかと思いますが。
あとは散策向きの樹林の広場が続いています。
この樹林地の北半分くらいを囲むように水遊び場になる水路がありましたが、訪れたのが冬だったので、ただ枯れ葉が溜まっているだけでした。
しかし規模としてはかなり長く、広いので、夏の季節になれば多くの人で賑わうのだろうと思います。
続いて、駐屯地東側の遊び場があるブロック。
中央のブロックとの間には、旧軍施設を活かした区立図書館もあります。
遊び場の半分くらいが草芝の広場、もう半分くらいが森になっており、森の端に少しだけ遊具が設置されています。
遊具コーナーの目玉は、こちらの複合遊具でしょうか。
幼児向けには、家型遊具、揺れる動物などもあります。
ただ、個人的にはそうした遊具よりも、木チップが撒かれた森の方が遊びの幅が広がるように思います。
ロープを張ったり穴を掘ったりが自由にできれば、なお良いのですが。
この森の北隅には、大きな殉職慰霊碑もあります。
詳しい碑文や解説板などは無いのですが、「陸軍造兵廠東京工廠長 杉本春吉 謹書」と刻まれているので、造兵廠内の事故で亡くなった方の慰霊碑だろうと思います。銃器や火薬を扱う工場だったので、命に関わる事故も少なからずあったのでしょう。
ちなみに、このブロックはそれほど背の高くないフェンス一つで駐屯地に隣接しているので、ボール遊びや凧揚げなどには注意が必要です。柵を乗り越えて不法侵入になると、いったいどんな処罰が待ち受けているのでしょうか。
同じ園内ですが、東側の遊び場とは距離にして700メートルくらい離れているので、ユーザーもやや異なると思います。また、こちらの方がやや古めの遊具で構成されています。
遊具は1ハシゴ2滑り部の滑り台、4連ブランコなどオーソドックスなものが中心です。
太鼓橋のラダー遊具が大型なあたりに、子供が多かった時代が偲ばれます。
そうした中で、遊具なのかモニュメントなのか少し悩む物件。
丸い範囲に大小様々なコンクリート壁が建てられています。
迷路遊び、かくれんぼなどに使うのでしょうか。
広めの公園を駆け足で紹介してしまった東京北区の中央公園でした。
(2018年1月訪問)
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