さて、トア公園の「トア」は神戸の浜手にあった旧居留地と山手の住宅地とを結ぶ道・トアロードから採られたものですが、公園自体はトアロードに面してはおらず、地元風に言えばトアウエスト(の中でもかなり北より)のエリアにあります。
この付近は2000年頃まで古めの木造住宅・店舗が立ち並び、よく言えば気取らない、悪く言えばゴチャゴチャした感じの中国料理店などの多いエリアでした。
それが市街地再開発事業によって一新され、隣接地のタワーマンションや商業施設と一体的に公園も整備され、2009年(平成21年)に開園しています。
写真では少しわかりにくいのですが、タワーマンション側は1階が店舗になっており、逆に公園側はマンションに面する部分には柵などがなく全面的に開かれているため、間に道路が通っているものの非常に一体感のある関係性になっています。
レンガ敷きの部分は歩道のようにも見え、実際も歩道として使われていますが、おそらくは公園の敷地の一部だと思われます。
そこには石製のスツールが並び、また階段状になったところがベンチ代わりにもなるため、そこに座って広場やステージ部分を眺められるようになっています。
スツールはこんな感じで、中国風の十二支の飾りが付いたデザインのものです。
中国風デザインが取り入れられているのは、この公園の北側に明治から終戦までの45年間、華僑の子弟教育のための神戸華僑同文学校(現・神戸中華同文学校)があったからのようです。
その校舎に使われていたという赤レンガを活かしたモニュメントもありました。
●現地の解説板より「旧神戸中華同文学校校舎に使用された赤レンガ」
1868年(慶応3年)神戸港開港後多くの外国文化が入り、神戸市中央区(旧生田区)界隈に洋館建築が数多く建てられました。
1900年(明治33年)3月10日、ここトア公園北側に神戸華僑同文学校(現神戸中華同文学校)の洋館校舎が竣工しました。
同校校舎は1945年(昭和20年)6月5日の神戸大空襲(B29の爆撃)により消失しましたが、焼け跡に校舎のレンガが残りました。1988年からは、地元主導のまちづくり「トア山手プロジェクト」(中山手地区第一種市街地再開発事業)が行われ、ここトア公園も誕生しました。
このモニュメントは、神戸華僑教育の出発点となった同校が、この事業地内で発祥した歴史を永く記憶に留めるため、そのレンガを使用して製作されたものです。
2009年3月吉日
モニュメントは、なんとなくステージの背景スクリーンのような場所に置かれており、この前でちょっとしたイベントくらいは開けそうです。
スタンドとステージの位置関係はこんな感じ。イベント時には、上手に使えば300席くらいは確保できそうです。
広場が中心ですが、いちおう隅の方に揺れる動物もあるトア公園でした。
(2016年6月訪問)
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