中野四季の森公園は、JR中野駅の北西側に隣接し、警察大学校の跡地に2012年に開かれた新しい公園です。
この公園の附近は、さかのぼれば帝国陸軍のスパイ教育の拠点(陸軍中野学校)、もっとさかのぼれば徳川綱吉が設けさせた野犬保護施設(お囲い犬屋敷)などのあった場所です。もっとも犬屋敷の広さは約100ヘクタール、公園の面積は1.5ヘクタールですので比べものにならない規模ですが。
市川雷蔵主演:陸軍中野学校より |
軍施設にしても警察施設にしても、市民生活とはあまり縁のない施設が駅の間近で大面積を占めている期間が長かったわけですが、21世紀に入って警察大学校が移転し、跡地の再開発として1.5ヘクタールの公園を中心に大学、病院、オフィスビルなどが並ぶ地区として生まれ変わりました。
ちなみに再開発地区全体は「中野四季の都市(まち)」、オフィスビル(含む住宅棟)は「中野セントラルパーク」、公園の都市計画公園名は「中野中央公園」、都市公園名は「中野四季の森公園」と、初めての人は間違えそうな名称が飛び交っているところが、いかにも再開発といった印象です。
さて中野四季の森公園。公園自体の面積は1.5ヘクタール(計画面積2.1ヘクタール)ですが、高層のオフィスビルの足元や大学施設の玄関前が公共空地として公園と一体的に開放されており、全体では約3.0ヘクタールのオープンスペースが確保されています。
公園は防災公園として、あまり大型の施設は入れずに園路と広場、植栽、水景施設(噴水、流れ)などが中心の整備がされています。
初めから周囲の建物とも足並みを揃えて計画されているため、建物内の商店やレストランなどが公園側に表を向けて設けられており、常に多くの人が公園を行き交うようになっています。
おおむねですが、下の写真で芝生部分が公園、木デッキになっているところが公共空地のようです。法律の関係で、公園施設としては作りにくいもの、扱いにくいもの(レストランの客がおもに利用するテーブルなど)は公共空地が受け止めるようになっているものと思われます。
園路の舗装の種類がガラッと変わるところもあって、ここが所有・管理上の境界線なのでしょうが、利用する上で境界線を意識することはまったくありません。
営業許可の関係で公園内には入れづらいキッチンカーがビルの公共空地側にたくさん並んでいます。訪れたのがちょうどお昼時だったので、たくさんの人がテントの下や木陰の思い思いの場所で食事を取っていました。
公共空地側になりますが公衆無線LANが導入されており、色々と使い勝手がよくなっています。テーブル&ベンチもたくさん置かれているので、ビジネスの気分転換に外で会議!なんてオシャレっぽいこともできそうです。
右端のカフェ・オレはいたずらでしょうが。
こちらは公園の西側にある流れ&噴水。防災用の役割もありますが、普段は子供たちの水遊び場になっています。
ここでも、流れは公園の区域内、お母さん方が座っている木陰のベンチは大学施設の敷地内ですが、完全に一体化しています。もちろんベンチや植栽は公園内でも整備できますので、この場合は公園と民有地の「役割分担」というよりは「一体的整備」の意味あいが強くなります。
そして公園の北側には管理棟と防災倉庫、多目的スペースなどを兼ねた建物があります。
多目的スペースは南北両側に大きく開口するようになっていますが、これは北側にまだ公園が拡大する予定地があるからだと思われます。
それにしても数年前までは、中野駅前に木陰の芝生で寝っ転がれる公園が登場するなんてことは想像もできませんでした。再開発、公園整備がまちの空気を一変させた好例だと思います。
(2014年8月訪問)
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