農村部における都市住民との交流、それによる地域活性化などを目標に、いわゆるスポーツやレクリエーションではなく、森林や農地、林業や農業、伝統文化などを取り込んだ公園なのですが、最近は公園内から恐竜の化石が見つかったため、そちらの方にも力を入れています。
ちなみに、近隣エリアには「丹波の森公苑」「ささやまの森公園」という何となく似たような名前の別施設もあるので注意が必要です。
現在の開園区域は、大きくは山部分と、山裾の丘陵地を地形にあわせて切り開いて、いくつかの広場が細長く連なる部分とに分かれます。
丹波並木道中央公園のHPより引用して表示 |
JR駅や国道からの進入道路(並木道)を通り抜けると、まず始めにあるのが朝市広場と公園管理棟、茅葺き民家の建物です。
この日は公園の秋のイベントが開催されていたので、広場の周りにはステージや屋台が並び、チェーンソーアートや移動博物館なんかも来ていました。
公園管理棟の天上からは、巨大な恐竜のオブジェが吊されています。
公園の横を流れる篠山川を数kmほど下ったところで2006年に丹波竜(ティタノサウルスの一種?)の化石が見つかっており、また公園内でも2010年にデイノニコサウリア類の化石が見つかったことから、管理棟の中はすっかり恐竜に染まっています。
一瞬「森や農はどこへ行った?」かと思いますが、建物自体が地元産材をふんだんに使ったものなのでよしとしましょう。
●兵庫県立人と自然の博物館 報道発表『県立丹波並木道中央公園産出の恐竜化石について』
そこから道沿いに奥へと進むと、この地方特有の農業施設・灰屋(はんや)のある広場・田んぼに出ます。
灰屋は藁などを燃やして肥料となる焼き灰を作るための小屋で、今ではあまり残っていないそうです(公園にあるのは、それらを参考として復元されたものです)。
ちなみにこちらは休憩所。灰屋とデザインを合わせており、土壁ならではの良い味が出ています。
そこから公園内で唯一の遊具であるローラー滑り台、製材所と木工教室をあわせた建物(森林活動センター)の横を通り抜けると、
現時点では公園の一番奥にあたる芝生広場、森の広場に出ます。
ただしどちらも原地形を残すような形で広場化されており、真っ平らで広々としたものではなく、けっこう起伏があって植栽や景石の多い独特の広場です。
この広場からは山の区域に入り、山頂まで遊歩道が通じています。さほど高い山ではありませんので、遊歩道を一周して30分程度でしょうか。
山頂まで行くと、いささか簡素で無骨な展望塔があり、篠山川の方向を見渡すことができます。
そして山を下りてくると、茅葺き民家の横手に出てきます。
この日はイベントだったので車がたくさん入ってきていますが、普段は公園内に乗り入れることはできないのだろうと思います。
ところで、いちばん森に近い芝生広場で、下の写真のようなものを見かけました。
イノシシが芝生を掘り返した跡です。
すぐ横の東屋にはラジオが吊されており、夜間にラジオを鳴らすことで駆除を試みているようでしたが、あまり効果はなさそうです。
兵庫県に限らず、山に近いところの公園ではイノシシ、シカ、サルなどの害がよく聞かれるようになっており、管理上の悩みになっていますが、なかなかこれと言った対策がないのが現状です。
都市・農村交流や里山保全のための公園というのは、80年代あたりからよく聞かれるようになった考え方ですが、公園として多くの人が利用しやすくするための整備と本来あるべき農村・里山環境がうまく合致しないというか、「公園としてそれっぽく造るのではなく、そのままの農村・里山の方が魅力的なのでは?」という疑問が常につきまといます(農村・里山を取り巻く環境が、そのままのものを残せなくなっているからこそ公園がアレンジして取り込んでいるのですが)。
また、そもそも人口の少ない地域で「大規模公園で都会から人を呼び込もう」と考えた時に、森づかいや農業体験がどこまで魅力的な集客材料となり、整備・管理への投資に見あった効果を得られているか、という点も常に問われるところです。
とくに丹波並木道中央公園の場合は、滑り台のほかには目立った遊具もなく、「森、農、(恐竜)」という限られた材料で勝負している現状なので、これから高齢化や人口減が続けば益々工夫が必要になってくることが予想されます。
当事者の方々のご苦労は絶えないと思いますが、せっかくの県営公園ですので、イノシシではなく兵庫県民の皆さんに長く愛される公園であって欲しいと願います。
●丹波並木道中央公園公式HP
(2013年10月訪問)
0 件のコメント:
コメントを投稿