敷地は160平米ほどと狭く、三方をビルやマンションに囲まれているため、遊具広場型の公園としては使い勝手が相当悪くなっていたものと思われます。
いまは「ファーム泉崎」という愛称が示すように、公園内に花壇や菜園があり、それらの企画・管理・運営を地域住民がおこなっているという点で、2000年代初頭にわが国で広まったコミュニティガーデンの手法を取り入れたものだということがうかがえます。
中心にはシンボルとしてのヤシとトラノオ(サンセベリア)、周囲にはバナナやパパイヤなど、沖縄の住宅の庭と同じような種が植えられています。
リノベーション直後の写真を見ると、始めはもう少し花壇・畑として手入れの必要な部分が広かったようですが、今は入口を入って左手の畑だけになっているようです。
「地域のみんなで公園の管理」というのは、始めて数年のうちは良いのですが、初期メンバーから後継者への切り替えがうまくいかないと、徐々に活動が衰退する傾向があります。ここも、そうした理由で日常的に手入れができる面積が減ってきているのではないかと懸念されます。
ところで、公園の一番奥には、住宅との間の目隠し板に森の絵が描かれています。これもリノベーションの際に地元自治会の方々が描いたものだそうです。
面白いと思ったのは、「沖縄でも『森の絵』を描こうとすると、針葉樹の人工林っぽいのを描くんだなぁ」という点。
むかし先達と森林景観の話をしていた時に「針葉樹人工林と広葉樹天然林、二つの写真を見せて好きな方を選んでもらうアンケートをすると、7割以上の人が針葉樹人工林を選ぶのだよ」と聞かされたのですが(伝聞なので出典や数字の正しさはご容赦を)、スギやヒノキの造林地がほとんどない沖縄でこの絵を見せられると、その話にも頷けます。
それ以上の分析や考察はないのですが、「沖縄っぽい植物景観」の話と合わせて、人間って面白いな、ということで。
(2012年12月訪問)
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