79/1000　南大江公園（大阪市中央区）

その横にある解説板には、「ここには平安時代から明治の終わり頃までは朝日神明社というお社があったが、それが此花区へ遷座した後に狸坂大明神が奉られた」といった内容が書かれています。どうやら朝日神明社の方は、社運が傾くというか、要は経営が厳しくなったために他の社と合併・移転して再起を図り、跡地の一部を同業他社が使っているということのようです。不動産でいう「居抜き」ってやつでしょうか。

現在の狸坂大明神

しかし、最近お世話になっているネット上で確認できる江戸時代の絵図を見ると、朝日神明社の位置は公園から道を挟んだ西側、現在の中央なにわ幼稚園の側のように描かれており、詳しいことはよくわかりません。

いつかまた、わかったら続報を書きたいと思います。

●参考　摂州大坂八百八橋

（2012年7月訪問）


【2018年10月追記】
9月に関西地方に上陸し、大きな被害を引き起こした平成30年台風21号により、あちこちの公園で倒木や枝折れなどの被害が出ました。その様子を見がてら、久しぶりに南大江公園へ行ってきました。
元記事が6年前で本ブログを始めて間もない頃のものであり、最近の記事のスタイルと見比べると書き忘れていることもあったため、すこし追記しておきます。

まず、元記事では抜粋だった解説板の内容を引用に。

■現地の解説板より「朝日神明社跡（坂口王子伝承地）」

朝日神明社は、天慶年間（938～947）に平貞盛が創建したという。天照皇大神（あまてらすおおみかみ）と倭比売命（やまとひめのみこと）を祭神とし、朝日の社名は祭神の天照皇大神にちなむとも、社殿が東面していたためとも考えられている。熊野王子のひとつの坂口王子の伝承地である。

当社は逆櫓社（さかろのやしろ）とも称されたが、これは源平合戦の際に、源義経と梶原景時が櫓のつけ方について論争したことに由来する。江戸時代の難波22社巡りのうちの1社である。明治40年（1907）3月までこの神埼町に鎮座していたが、現在は此花区春日出中に移座している。旧地には狸坂大明神が鎮座している。

大阪市教育委員会

詳しく引用したところで、現在の狸坂大明神のことが今ひとつわからないのが悩みのタネ。
確かに公園の西側は坂道になっているので、ここが「狸坂」と呼ばれていたのでしょうか。


もう一つ、園内には水呑地蔵尊も祀られていました。
これは以前はなかったように思ったので資料にあたってみると、以前は少し離れた場所にあったものが、そこにマンションが建つことになったために、2017年（平成29年）に公園内に移設されたそうです。
もともとは、秀吉の大坂築城の際に、八尾の久宝寺あたりの人々が城下町に移住させられた際に、八尾神立の水呑地蔵尊を分祀したのが始まりだとか。（南大江地域活動協議会だより「やすらぎ」第51号、2017年3月号より）

そして、園内を見て回ると、ここでも枝折れが散見されました。

そのせいなのか、あるいは以前から老木対策を進めていたものなのか、園内の大きな樹を伐り倒した跡や、これから伐る準備のテープが巻かれたものがたくさんありました。
市街地にしては大きな樹が多いことが魅力だった公園ですが、安全優先でこれから少し様子が変わるかも知れません。