No.2999 金城南公園があった金城町からもう少し谷側に下がると、そこに金城ダムがあります。住宅地から道一本渡ったところに急に大きなダムがあることに驚かされますが、那覇市街地を流れる安里川の氾濫を防ぐためにつくられた治水目的ダムです。
これの池部分を一周できる園路や休憩園地などが設けられており、市民が利用できる緑地として開放されています。
上池と下池、2つに分かれた貯水池を一周しても1kmほどのサイズなので、東京の石神井池や大阪の狭山池と比べても小さなものです。
遊歩道も本来は管理用通路だと思われ、山肌を支える構造物がやたらと目立つ道です。
ところどころに経緯がよくわからない巨大構造物もあります。これは擁壁なのか、城壁なのか。
ここだけ見たら、首里城の門の一つだと言っても通じるくらいですが、じつはこの上部に小さな展望広場があります。
貯水池が上・下に分かれているという話をしましたが、2つの池の間には文化財である石橋があるため、これを保存するために池を分割したそうです。
■現地の解説板より「ヒジ川橋(および取付道路)」1959年(昭和34年)12月16日 沖縄県指定有形文化財(建造物)ヒジ川橋は、首里崎山町にあった御茶屋御殿から識名園に至る途中の金城川(カナグシクガー;現安里川上流)に架けられ、琉球石灰岩を用いた単拱橋(たんきょうきょう:アーチがひとつの橋)で、17世紀半ばまでにはつくられていたと考えられています。
全長13.18m、幅5.2mで、橋の中央部が少し高くなり、3段の階段式になっています。欄干は、切石を利用した質素なつくりですが、見えない部分にほぞをつくって巧みに組み合わせています。
橋のアーチは円弧を用い、橋脚部は布積みで、その他はあいかた積みにしています。川床にも石を敷いて、橋脚部を川の浸食から防いでいます。
取付道路は緩やかな曲線を描きながら、勾配を調整して橋に取り付けられています。道幅は約2.6mで、橋の東側28m、西側18.5mが指定されています。
小ぶりですが、きれいなアーチ橋ですね。
残念ながら、川底にも敷き詰められているという石畳までは見ることができません。
少し離れたところから、ヒジガー橋と、そこに向かう取付道路を見たところ。
橋に向かっている道路は文化財の石畳道なのでしょうが、交差している道がよくわかりません。これも旧道なのか?
ちなみにヒジ川(ヒジガー)のヒジは肘ではないことは確かだと思うのですが、現地近くの別の史跡であるヒジガービラの解説板には「湧水地(ヒジガー)の鍾乳石がヒゲ、方言でヒジのようになっている」と書かれているのですが、久手堅憲夫『首里の地名-その由来と縁起』では、豊かな水量を誇った湧水があったことから「他の井泉ではひき比べることができない泉の義をいうた“比擬ガー”からヒジガーに変わった」としています。
晴れていれば気持ちの良い散歩道になる金城ダムの緑地でした。
(2021年11月訪問)
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