そんな傾斜地の坂道に沿って細長い形をしており、それが横から入ってくる道で幾つかのブロックに分けられて、ブロックごとに違った色合いの整備がされています。
まず一番下のブロックから。
公園全体、あるいは坂道を通じてまち全体の導入部にあたることから、全体がレンガ敷きの広場として仕立てられており、歩道とも一体化してもっぱら通り抜けに使われる空間となっています。
訪れたのは冬だったのですが、サクラやイチョウの新緑の季節などは、歩いて楽しい空間になるのではないでしょうか。
その上のブロックは遊具広場。
ブランコ、鉄棒、機関車型の遊具などがあります。さほど広くもなく、幼児連れの親御さんが買い物ついでにちょっと立ち寄るくらいの使い方になるかと思われます。
それだけでは少し寂しいと言うことなのか、もう一つ上のブロックの、園路が広くなっているところにすべり台があり、揺れる動物も設置工事中でした。
まだ籠の鳥状態ですが、数日後には使えるようになっていたことでしょう。
さらに坂道を上っていくと、庭園風の流れ、水車の付いた日本建築風のトイレなどが現れます。
これは、この付近にかつて陸奥守山藩・松平家の屋敷があり、占春園という庭園があったことにちなむイメージなのだろうと思います。
占春園の跡地は、公園からはフェンスを隔てたすぐ隣に残っています。
今は庭園ではなく池、湿地、林などがある自然風の緑地になっていて、筑波大学附属小学校が教育園として管理しているのですが、昼間は一般に開放されています。
さて、占春園には入らずにドンドンと坂を上っていくと、園路は崖上の方へと続いていき、車道とは少し高低差が出てきます。というか、車道が切り通しのような形で谷底を通っており、両側の崖の上に建物(と園路)があるような格好です。
その谷になった車道の反対側に、屋根も壁も銅板が張られた建物が見えてきました。
その外観から「銅御殿(あかがねごてん)」と呼ばれる旧・磯野家住宅であるようです。
美術工芸的に気にはなるのですが、谷の向こうなので横目に見ながら公園内を上り詰めると、春日通り接するブロックに、もっと凄いものが待ち構えていました。
その名も「カイザースラウテルン広場」。文京区の姉妹都市であるドイツの都市の名を冠した広場で、かなりクセの強い彫刻が建ち並びます。
●現地の解説板より「『神話空間への招待』について~カイザースラウテルン広場
文京区は、うるおいとやすらぎのあるまちづくりの一環として「彫刻のあるまちづくり」事業を推進し、くないの公園などに彫刻作品を設置しています。
この彫刻作品は、本事業と併せて、区とドイツ国カイザースラウテルン市との「姉妹都市提携」(1988.3.28)のシンボルの一つとして設置したものです。作品の制作は、同市出身の彫刻家ゲルノト・ルンプフ氏(カイザースラウテルン大学教授)に依頼し、夫人のバルバラ・ルンプフさんとの共同制作により完成しました。『神話世界への招待』はヨーロッパの長く多用な歴史的伝統の中にいきづく伝説上の動物である一角獣を中心に6点の彫刻により構成された作品群の名称です。また、この彫刻作品が両市民の友情と信頼をさらに深め、姉妹都市提携の記念として末永く愛され親しまれることを願い、この広場の通称を「カイザースラウテルン広場」としました。平成5年10月21日 文京区役所土木部公園緑地課●各作品のテーマ一角獣:ヨーロッパ大陸の伝説上の動物、偉大な力の象徴魚:日本の鯉をイメージしたもの、カイザースラウテルン市の紋章にも魚がある、幸運のシンボル、頭像は同市の発展に尽くしたフリードリッヒⅠ世、制作者から区民への友情のメッセージアンモナイト:地球発展の歴史の起源、太古と日本文化の源、歯車は日本のテクノロジーとその急速な発展を表現かたつむり:渦巻状であることから進化のシンボル、静寂と瞑想銀杏の葉:東京の代表的な街路樹、日本への友好の気持ちを表現●制作者紹介ゲルノト・ルンプフ氏は、1941年にドイツ国カイザースラウテルン市で芸術家の両親の下に出生。1964年~70年、ミュンヘンの芸術アカデミーで学び、その頃から工房での制作を始める。公共空間における野外彫刻及びレリーフ等の作品も多く、ミュンヘン、ローマ等で個展を開催している。またバルバラ夫人も彫刻家であり、結婚以後共同制作を進めており、今後がさらに期待される作家夫妻である。
なんだか細長い公園を歩いているだけで、子供の遊び場から江戸の大名庭園、明治の実業家の豪邸、そして神話の世界まで旅することのできる窪町東公園でした。
(2016年1月訪問)
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