「本町」といえば、その町の起こり、もっとも繁華な地区が名乗るものですが、神戸市兵庫区の本町は江戸時代の兵庫津岡方(港から離れ陸路の宿場町となっていた地区)の中心地だったそうです。本町公園は、そんな兵庫区本町にあります。
ただ、実際に港から遠いかというとそんなこともなく、公園から数十メートルのところには明治時代に整備された新川運河(兵庫運河)が通っています。
この運河は江戸時代の船入江(内海)を改廃しながら通していったようなので、それならば港の中心と言っても良いように思うのですが、律令時代からの歴史を持つ兵庫の港は時代とともに姿を変えており正確なところはよく知りません。
そんなこんなで運河沿いには「古代大輪田泊の石椋(こだいおおわだのとまりのいわくら)」のモニュメントもあります。これは平安時代頃の港の堤を築造する際に使われた石だったそうです。
さて、現在の本町公園。付近では一番大きな公園で、フェンスに囲まれた多目的広場、健康器具の集まった広場、遊具広場、周回園路などを備えています。
多目的広場はそれほど広くはなく、ボール遊びやキャッチボール、サッカー練習に使えるくらいの規模です。
多目的広場に隣接して健康器具がたくさん置かれた広場がありますが、近々傷んだものの補修か入れ替えかが行なわれるようで、使用禁止のものが幾つかありました。配置としては、周回園路のウォーキング、健康器具を使った運動を多目的広場の利用と組み合わせて行なって欲しいという意図が感じられ、成人の健康運動に力を入れているようです。
一方で遊具広場もしっかりしており、やや大きめの複合遊具、円形フェンスに囲まれた中に滑り台や砂場などのある幼児遊び場が確保されています。
砂場は帆立貝形。いや、サカナ型かな?
周回園路や東屋もしっかりと整備されています。
もっとも公園規模の割に施設が多めに感じられ、管理面の負担を気づかってしまいます。
そして公園内にある老人憩の家は、なぜかちょっと格好いい別荘のような外観です。
さらに公園の西側、道を挟んだところの「兵庫津歴史館 岡方倶楽部」の敷地には「岡方惣会所趾」の石碑があります。江戸時代の兵庫津は、岡方、浜方(南浜、北浜)の3地区に分かれており、それぞれに惣会所(自治組織の事務所・役所)が置かれていました。その内の1つです。
すなわち、公園と岡方倶楽部との間の道が西国街道。
岡方倶楽部の建物は昭和初期に建てられたもの。実際に旦那衆の社交場(クラブ)として使われていたものだそうです。
街道や古い建物の活用と公園とを連携させてイベントなどを仕掛けていければ、これからもっと面白くなれそうな本町公園でした。
(2014年10月訪問)
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