神戸市東灘区にある川井公園は、面積にして約1.1ヘクタールあり、近隣の様々なニーズを受け止める規模の公園です。

自転車置き場に掲げられていた見取り図で説明すると、北東(上右)から、オレンジっぽく塗られたエントランスの石畳広場と土敷の広場、南東(下右)にはフェンスに囲まれた多目的広場、南西(下左)が遊具広場、北西(上左)は地区の自治会館とその周囲の木陰のある広場という構成になっています。

エントランス広場には、災害時の飲料水として使える耐震性貯水槽が埋設されています。
阪神・淡路大震災後の再整備の際に導入されたもので、当時はまだ珍しかったので色々な資料や報道などで紹介されました。

土敷の広場部は、普段はイマイチやる気のないカバ、パンダ、ゴリラなどの動物遊具が置かれただけの空間ですが、災害時には、ここが応急給水場所として使えるように計画されています。

ほかに公園の中央に井戸も設置されているのですが、水を汲み上げるために肝心要の手回し部が無くなっていました。
本当は、ここに見えているポンプの上部に手回し部があるはずなのですが、壊れているにしてはしっかりと蓋がしてあるので、いたずら防止のため、壊れやすいパーツを普段は外しておいて、必要な時に自治会館あたりから出してきて取り付けることになっているのかも知れません。

南東部の四角い多目的広場は、二つの角にバックネット状の背の高いフェンスが付けられており、少年野球であれば2組同時に使えるようになっています。

多目的広場の南側には、2000年に阪神・淡路大震災復興記念として近畿各地のベンチャークラブから寄贈された八重桜(関山)が植えられています。
ただ欲を言えば、せっかくのお気持ちを活かすためにも、できればもう少しフェンスから離して植えて、大きく育ててあげられればよかったという気もします。フェンスを避けるかのように、幹が傾いて育っているのが不憫です。

南西部の遊具広場は、全体が腰高くらいのコンクリート壁で囲まれており、気持ちとしては子供だけのスペースとして周囲とは仕切られています。
星や虹の描かれた壁は、時には平均台に、ベンチに、砂場の近くでは遊び台にと変わるので、これ自体が遊具のようなものです。

ちゃんとした遊具としては、滑り台が2本付いた今風の複合遊具と、木製の砦風の複合遊具があります。

木製のほうは通路にまたがって二つの塔があり、それを橋で結んでいるという構造で非常に面白みはあるのですが、木製ならではの劣化が見られ、また最近の安全基準に照らすと基準に合わないところがあるように思うので(測ったわけではありませんが)、やや先行き不安です。

また広場の内外にケヤキが枝を茂らせており、夏の木陰も十分なので子供を安心して遊ばせることができます。

北西の公民館の周りは、クスノキの下にポツポツとベンチやテーブルが置かれており、大人は集まって世間話、小学生はカードゲームをするのにちょうど良い感じです。

そのほかにも、大きなテーブル・ベンチ、よく茂ったパーゴラ、主園路沿いのベンチ、思いがけず隅の方にもベンチなど、落ち着いて座れるところが多いのも嬉しいところです。

写真はありませんが、公園のすぐそばに駄菓子屋兼酒屋や美味しいケーキ屋などがあり、地区の祭りの会場となるなど、いつでも使いごたえのある公園、周辺の環境を引き立てている公園になっている川井公園でした。

(2014年5月訪問)

【2020年2月追記】
記事の中で「先行き不安」と書いた木製遊具が、新しいタイプの遊具に入れ替えられたことは知っていたのですが、なかなか行く機会がなく、やっとのことで写真を撮ることができました。

「通路をまたぐ2本の塔を橋でつなぐ」という基本的な構造は踏襲したうえで、スチール主体の今日的なデザインのものに替わっています。

さらに、以前から園内の砂場にあった虹模様のタイル画を取り入れた屋根のデザインも面白く、なかなか気の利いた更新だなぁと思わされます。

さすがに、7色は入り切らなかったようですが。

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