磯上(いそがみ)公園は、神戸市の中心ターミナルである三宮駅から徒歩5分の場所にありながら、メインストリートには面しておらず、イマイチ目立たない公園です。
目立たない訳はもう一つ、ほぼサッカー場に特化した施設内容で、サッカー場1面とクラブハウスのほかは防災関連の倉庫や貯水槽くらいで、遊歩道すらないため、一般の市民が立ち寄る理由がないからだと思います。
いちおう通路とか防災施設兼用のパーゴラくらいはあるのですが。
とは言え、サッカー場は有名です。
特段に施設が良いということはありませんが、中心駅から近く利便性が高いうえに、公園内のクラブハウス(三木記念神戸市立スポーツ会館)には兵庫県サッカー協会が事務所を置いていることから、兵庫・神戸のサッカーの一つの拠点となっています。
神戸市の公園の中に兵庫県の協会の事務所があるというのも面白いのですが、現役最年長サッカーライターと呼ばれる賀川浩さんの著作を集めた「賀川サッカーライブラリー」に収められた『普及と興隆の機関車となった偉大なドクター 加藤正信(下)』にそのあたりの経過が書かれています。
ちなみに、建物を寄付したのは神戸市中央区に本店を置く繊維商社・三共生興の創業者である三木瀧藏です。No.431の東遊園地でも、噴水を寄付した人物として登場しました。
同氏は、ほかにも神戸市内の大学などに体育館や講堂を寄付しており、その遺志を継ぐ財団が今も奨学事業や学校への助成事業を続けています。
また、この公園のすぐ隣には、1870年から140年以上の歴史を持つ「神戸レガッタ&アスレチッククラブ」の体育館建物があります。外国人居留地内でスタートし、今でも多くの外国人が通うスポーツクラブです(ここでいうスポーツクラブは、日本的な貸し運動器具集合施設ではなく、スポーツや遊び、飲食などを通じて会員同士が交流する「クラブ」のこと)。
もとはNo.431の東遊園地にあり、50年ほど前にこちらに移転したそうです。その時期なりの近代的な外観ですが、内部のバーなどはしっかりとクラシカルな雰囲気だそうです。
ちなみに、この公園から北側は、終戦後しばらくの間、米軍に接収されキャンプが置かれていました。磯上公園の敷地も、米軍キャンプに含まれていたと聞きますが、正確なところはよく知りません。
国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」で1947年撮影の写真を見ると、磯上公園より北側、現在のフラワーロードから新生田川にかけての広い範囲に、進駐軍の兵舎がずらずらと並んでいるのが見えます。その兵舎群のすぐ南にいくつかの空地・未利用地があるので、兵舎は置かれずに、当時からグラウンド等として利用されていたのかも知れません。
●Kobe Regatta and Athletic Club(英文)
●三木瀧蔵奨学財団
(2013年4月訪問)
さして大きな公園ではないのですが管理人がいる珍しい公園ですね。
返信削除Unknownさま
返信削除こんにちは、ブログ作者です。コメント有難うございます。
神戸市の場合、サッカー場やテニスコートなどの有料施設がある公園には、基本的に管理スタッフを配置しているようです。