淡路島の洲本市は海に向かって開けた街で、1998年(平成10年)明石海峡大橋ができて淡路島が本州と陸続きになるまでは、洲本港は神戸、大阪、泉州深日などへの客船航路や貨物輸送で賑わっていました。
その洲本港のすぐそばに、明治時代に建てられた煉瓦造の紡績工場(鐘淵紡績 洲本工場)がありました。国内でも有数の規模を誇り、1950年(昭和25年)には従業員数4200名(その頃の洲本市の人口が3.7万人)を数えるまでの大工場だったと言います。
しかし産業構造の変化に伴って工場は縮小・業態変更を余儀なくされ、1986年(昭和61年)に遂に閉鎖されます。
その後、工場跡は建物を保存しながら再開発され、市の新たな中心地として生まれ変わりました。その再開発地区の中央にあるのが都市公園としての洲本市民広場です。
と言いながら、公園そのものはそれほど目立つものでもなく、工場敷地内にあった樹木を活かしながら、芝生広場、園路、モニュメントなどを配したものです。
ただ、この公園を取り囲むように煉瓦造の建物を活かした施設が配置されており、それらの屋外空間として快適な景観を生み出しています。
市民向けのアトリエやギャラリー、カフェなどの入るアルチザンスクエア。
淡路島の特産品を味わえるレストラン。
煉瓦建物を外壁として一体的に取り込んだ新建築の洲本図書館。
現代的なカフェもありますが、白いフレームとガラス張りのため、さほど主張が強くなく、煉瓦建物の中に混じっても違和感がありません。
等々の建物と公園の緑が一体となっています。
隣接地には県立の医療センター、洲本バスターミナル、イオンのショッピングセンターなどの施設もあり、市民生活にとっても観光客にとっても面白いスポットになっていると思います。
欲を言えば、それら隣接施設から市民広場への歩行者動線がもっと改良されれば、なお良いのですが。
(2013年4月訪問)
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