283/1000　中坂児童遊園（東京都千代田区）-日本1000公園

No.282で登場した九段坂と北側にある冬青木坂（もちのきざか）との間にある少し小さめの坂道が中坂。この坂に面して中坂児童遊園があります。
なんと言いますか、東京都心で頑張って子供の遊び場を確保してきた歴史と、その後の環境の変化、そして現在置かれている状況が一目で掴めてしまうという意味で、いちどは行っておきたい公園です。

まず中坂に面して、なにやら特徴的な書体の園名板が付けられています。開園当初はけっこう気合いが入っていたことをうかがわせます。

しかし、その園名板の後ろにあるのは、一見するとただの路地。洋裁屋さんには用はないのですが...

と思いきや、洋裁屋さんの裏には、ビルの谷間にフェンスに仕切られた空間がありました。5メートル四方くらいでしょうか。おそらく、洋裁屋さんの裏にあった家一軒分の土地を取得して児童遊園にしたのだと思われます。
かつてはもうちょっとマシだったのかも知れませんが、周りをビルに囲まれてしまって陽あたりは最悪。地面が苔むしています。

もとは遊具もあったようですが、現在は公園施設らしいものと言えば、砂場と水飲み場くらいです。
それでも清掃用具入れがあり、地域の方がお掃除をなさっている様子は伝わってきます。

区全体が路上喫煙禁止になっている千代田区では、もはや児童遊園＝喫煙所という構図になっていますが、ここもそのようです。
がしかし、面積が狭く喫煙すると周辺の方々の迷惑になるという理由で、よその児童遊園に行って吸えという看板が貼られています。都心なので外国人も多いのか、英語での注意書きもあります。

そして、よほどマナーの悪い人が多いのでしょう、公園を囲む三方のフェンスに所狭しと同じものがベタベタと貼られており、いささか鬼気迫るものを感じます。

しかし、タバコを吸うつもりでここまで来た人に300メートルほど離れた隣の児童遊園まで行けというのも無理な話で、写真を撮っている間にも言うことを聞かない人がやってきて吸い始めました。
ここが児童遊園である限りは、どう見ても児童が遊ぶわけないのに無料で開放して区役所や地域の方が掃除をし続けなければならないわけで、廃止や統廃合について議論をしても良い場所だと感じた中坂児童遊園でした。