前田公園は阪神・淡路大震災で全壊した邸宅跡地を芦屋市が購入し、復興区画整理事業の一環として住民の意見を集めながら整備したもので、2002年に開園した比較的新しい公園です。邸宅にあった井戸、石塔、樹木、流れなどを活かした和風デザインとし、また「石の公園」というテーマで遊具も石造モニュメント風のものとしています。
また公園の周囲には歩行者の安全件や快適性を考慮に入れたコミュニティ道路が整備されており、そこと公園とを一体的に行き来できるようなデザインになっています。
ですので庭園風(と言うかもともと庭園)で、遊ぶというよりは憩う、散策するといった使い方に適した公園です。
整備から10年ほどすぎて植栽もかなり落ち着いてきており、訪れた夏の終わり頃には鬱蒼とした雰囲気も漂うほどにボリュームが出ていました。このように森っぽい公園は、芦屋市ではもう少し山手の住宅地に行けばあるのですが、平地部には少ないので貴重だと思います。
また工事前に敷地からは弥生時代前期の水田跡、そこに残された弥生人の足跡が見つかっており、この足跡のレプリカが展示されています。震災前にお住まいだった方も、まさか自分の家の下から2400年前の足跡が出るとは思ってもみなかったことでしょう。
■現地の解説板より「前田遺跡と弥生前期の市内最古のヒトの足跡」
この公園の敷地には、縄文時代晩期から中世まで含まれた複合遺跡が眠っていました。2003年の発掘調査によって弥生時代前期の水田跡や弥生人の足跡も見つかり、当時の暮らしぶりの一部がわかりました。水田は畦に仕切られた小さな区画で、水口をつくって導水を行っています。付近には同時期の住居跡がたくさんみつかっている寺田遺跡や方形周濠墓が発掘された清水遺跡も存在し、3つの遺跡が集落として関連することがわかりつつあります。
足跡は歩行の方向やようすもわかり、芦屋川の右岸扇状地で水稲耕作に力をそそいだ人々の知恵と技術を知る上に貴重です。水田層の年代は最新の加速器質量分析法(AMS法)による炭素C14年代測定法により、今から2400年程度程前であることもわかりました。
(2012年9月訪問)
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